外食産業にに30年携わってるコンサルマンが考察する「異物混入」

外食産業にに30年携わってるコンサルマンが考察する「異物混入」

最近またぞろ飲食店なんかの異物混入が話題になっている。

冷凍食品や、コンビニ弁当なんかの工場で作られる食品は、原則として異物混入が発生しない仕組みにはなっている。 吸排気にはフィルターが付いているし、出入り口には二重扉のエアーカーテンが付いている。 衣服なんかも髪の毛などが落ちぬよう徹底されているので、 「工場生産」の飲食物での異物混入は明らかに人為的ミスだ。 (施設の老朽化も人為的なミスに加えたい) 材料なんかも徹底的に洗浄され、異物混入も確認されている。 野菜なんかは カット後ジャグジー風呂のようなもので洗浄され3人の目で三回確認するのが多分一般的な施設になるだろう。

ただ飲食店はちょっと違ってくる。

工場の人のような、実験室の白衣で頭からつま先まですっぽりでは、お客さんが引いてしまうだろうし、中々完全防備とまではいかない。

よく某ハンバーガーチェーンで人の歯が入ってたとかは工場の問題。 今回話題になっている「虫」やよくある「髪の毛」なんかに絞って話をしてみたい。

ネジとか、金属片、プラスチック片なんかも聞くが大抵機器設備のメンテナンス不足である。ここまでは責任を問える人為的ミスだ。

その前に先日某回転ずしチェーンで「不道徳な行為の動画」が話題になったが、マクドナルドで14万人。だそうな。吉野家で2万人前後。 こう考えると。外食チェーンで働いてる人は100万人近くいるんだろう。 まあこんな人はいるんだろうな。 変な奴も世の中に入るんだから。

日本の飲食店は67万店あって、働く人は440万人だそうな。30人に一人は飲食店の経験があって退職した人なんかも含めればきっと日本に住む10人に一人は経験者だろう。 私もコンサルティングをする前は大手チェーンに13年勤めていて部下や部下の部下、そのまた部下なんかになってもらった人数は冷静に考えるとウン千人だは存在するはず。

話は戻って、飲食店での異物混入は基本的に防げない。 これが結論。

万が一を10万が一、100万が一にすることはできる。 ただマクドナルドばかりで申し訳ないがハンバーガーの販売戸数は桁が違って10億個をこえているはず。 10億個作るのにあんな完全防備ではない従業員が作っているのだから髪の毛なんかは日常茶飯事になるだろう。 人間一日50本は髪の毛が抜ける。 440万人が一日のうち4時間飲食店で働くなら50本の1/6が勤務中だから440万×50本×1/6=3666万本の髪の毛が飲食店内の従業員によって飲食店内で抜けていることになる。 よって髪の毛の混入なんかは「飲食物に入ってて当たり前」なのだ。

「虫」に関してもあきらめてほしい。 工場のように入り口に二重のエアーカーテンやエアーシャワーがあるわけではないし、お客様を招き入れる以上虫も招き入れる。 ゴキブリは違うだろうといっても入り口がある以上は、外からくるしビルイン店舗なんかはいくら害虫駆除をしてもきりが無い。

それでも商品に入っているのはとは思うが、今回の鶏すき丼、(まあ牛丼でもいいが)基本的に茶色い煮物に茶色いものが入ってて調理者が気づくのか?と思う。 虫が鍋なんかに入るのは防ぎようがないのでつくづく「運の問題」になってくるんだろうなあと思ってしまう。

用は、異物混入は防ぎようがないのだ。 家でハンバーガーを作っても、買ってきたパンに入ってるかもしれないネジには気づかないし、パンから作ってもパン焼き機から取れたネジには絶対気づかない。

ハンバーグにしてもそうだろうし。 お母さんのほとんどはは髪の毛も気にしないだろう。

食中毒もそうだが基本的には【家庭より外食のほうが異物混入や食中毒の可能性は限りなく低い】のである。 あなたの家に消費期限切れの食材はないだろうか。

一日3食100年、すべて外食せず家で食べても11万食である。 マクドナルドの10億に比べればかすむような数字だ。

話はそれたが、「異物混入は当たり前」であるが、そのクレームに対して謝罪することも当たり前。

そして、できうる限りの保証も当たり前である。

 

 

そうできうる限りだ。 少しきつく冷たい言い方になるが、法律や裁判での事例にのっとって語っていきたい。 「できうる限り」というのは原則として被害に対して保証する。 ということ。 できれば個人で飲食店をしている方に、法務部門が付いた企業の対応の仕方を伝えたい。

髪の毛がお客の口に入っても、実は被害はないのだ。(もちろん金属片が入ってて口内を切ったや、歯が欠けたなんかは違うが。虫を食べても健康被害がなければということ)

被害があったのは「食べようと思って来店して、お金を払った(前払い後払いは別にして払った事実か、払う意思のこと)のに、商品と違うものが出てきた。」ということ。

これに関して言えば、謝罪とお金をいただかないこと。 がもちろんである。 それで与えた被害に関しては弁済できている。 時間が~とか 気持ちが~などはここには入らない。

車の事故でもそう。 車に対しての思い出や、事故処理の時間などは弁償されない。 納得いかない気持ちがここには残るだろうが、これが現実である。 そしてここからはお客の選択だ。 もう行かないのか期待してまた行くのか。 それは自由である。 ただ店側は「もう一度来て欲しい、挽回させてほしい。」 という気持ちで新しい商品を渡したりするのだ。 これがいつしか、現金になったりして話に尾ひれがついて、恐喝まがいのことが起きている。 インターネットの普及によりクレームを入れる側も入れられる側も賢くなった。 私が指導するならこれ以上のことは本部対応である。 そして土下座なんかでもさせた日には防犯カメラに映り今度はクレームを入れた側が刑事事件となり、お金を払って示談する羽目になる。

私もいままで何件とクレーム処理をしたが謝罪で済まなかった場合は、最終的にはほぼ「クレームを入れてきたお客様が」よろしくない結果になることが多かった。

別に今回の話、飲食店側の味方をするわけではないが、異物混入に対しての最終的な実務はこんな感じである。 Twitterに乗せるのは個人の自由だと私は思うが、今回の牛丼のゴキブリの件はどうやら本人探しや、ウソ暴きになっていったようだ。

どうしても腹が立って投稿する場合はウソや誇張の無いようにしたい。 それが事実ならそんなお客様を納得させる謝罪がきちんとできない店はつぶれてしまえとも思う。 自分の料理に異物混入があってそれをきちんと謝れない料理人はきっとろくな料理はできないだろうから。

美味しいや、美味しいだろう。近くにあって便利だ。という飲食店に期待を込めていったのなら異物混入にはどうかおおらかな目で見てあげて欲しいし、 そっと店員に伝えてあげて欲しい。

それをしっかり謝罪し、次回への改善につなげる約束のできる店は、きっと味も雰囲気も向上してゆく店だろうから。

ほなまたね